千葉大学文化人類学研究会趣意書2023年4月1日 小谷真吾、髙橋絵里香、小林聡子、ヤニス・ガイタニディス
現在、千葉大学には文化人類学を研究の主軸とする教員が複数名在籍しています。その教員の指導のもと、文化人類学の考え方、方法、事例を学ぶ大学院生、学生、研究生も少なくありません。しかし、大学の組織が複雑になった結果、それら文化人類学を学ぶ者が異なった学部、大学院に分かれて在籍している現状です。別の組織に在籍していても、文化人類学を学び、議論する場はこれまでも設けられてきました。しかし、様々なメディアによって外の世界とつながることのできる現代、千葉大学の外の公共空間に向かって我々の存在を表し、他者とのコミュニケーションを活発にする場あるいは組織を作る必要性が増しています。その趣意から、ここに千葉大学文化人類学研究会の設立を表明します。
これまで修士・博士両課程の大学院生は、履修規定に応じて単位を取得し、指導教員から個別指導を受けて研究を進める一方、各自の研究の進行状況を定期的に発表し情報交換する両課程合同の大学院セミナーを開催してきました。ただ、大学院セミナーは大学院教育という枠組みにとらわれる面が多く、学部生や他の研究機関所属者が参加すること、別部局の所属者が一堂に会することの意味付けや名乗りが困難でした。ならば、先に「文化人類学を研究すること」をもって場あるいは組織を意味付け、名乗り、研究と教育の垣根を取り払ってみようと考えるに至りました。
文化人類学はフィールドワークという研究方法に特徴があります。文化人類学者は、人びとが日常を過ごしている場におもむいて、話しを聞き、活動に参加してふるまい方を学び、土地の様子を観察し、政治経済的な情勢を計算に入れようとします。このような人間と世界に対する感覚を持った者は、別の組織に所属していても、見たり聞いたりする対象が異なっていても、自ずから相互にコミュニケーションをとり始めるでしょう。千葉大学文化人類学研究会はそのような者の集まりが出発点です。「文化人類学を研究する場」を定期的に設けることによって文化人類学者の日常を構成し、活動に参与することによって文化人類学者になっていくことを目的とします。
ただし、研究・教育の場としての大学の名を冠して、その成員は千葉大学において文化人類学を研究する教員、大学院生、研究生で構成されることにします。大学院生を中心とする成員は、研究成果をこの研究会において発表することが求められます。教員からの指導も含め、成果を土台に議論を積み重ねていくことによって、成員全員の世界と人間にかんする知見を深めることを目指します。また、外部の研究者や学部生を会に招いて、考え方や方法、事例にかんして情報交換することも計画していきます。これらの実践を通じ、千葉大学において文化人類学を学ぶ者が結社することによって、千葉大学を、あるいは文化人類学を、さらには世界を知的に豊かにしていくことができるでしょう。
千葉大学文化人類学研究会会則
2023年4月1日
2023年4月1日
名称 | 組織として千葉大学文化人類学研究会と称し、場として千葉大学文化人類学研究会を企画する。 |
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目的 | 本会は文化人類学研究者の集まる場を千葉大学において構築し、会の内外における学術的コミュニケーションを活発にすることを目的とする。 |
研究会 | 授業開講期間中の定例研究会の開催。内外の研究者を招いての拡大研究会の随時開催。 |
会員 | 本会の会員は、千葉大学に在籍し、文化人類学を研究する教員、大学院生、研究生で構成する。千葉大学学部生および他大学・他組織在籍者が定例研究会および拡大研究会へ参加することは、会員の合意を経て認められる。 |
会費 | 基本的に必要としない。 |
会則 | 本会の趣意および会則は、会員の合意を経て随時更新する。 |