A. K. さん
現在どのような仕事をしているか
千葉大学人文公共学府地域研究センター特任研究員をしています。その他に、立教大学社会学部・文学部、千葉大学人文公共学府で非常勤講師を勤めています。
文化人類学専修で学べたこと
行動科学コース全体に言えることなんですけど、自分の立てた問いに対していろんな調査をして説明することが学べました。文化人類学は資料を使ったり、インタビューやフィールドワークをしたりと、その色々な経験が今でも役に立っています。
あと、ありきたりなんですけど、世界にはすごくいろんな人がいて、それぞれに違った当たり前があることを再確認しました。
研究テーマについては、最初は自分の出身地の環境認識について学んでいましたが、その地で開発に対する反対運動が起きました。でも反対運動の「自然は守らなきゃいけない」という言説と実際に自然に関わっている人たちの認識とは乖離しているんですね。しかし「守らなきゃいけない」と言わないと反対運動はできない。
そういう矛盾を経て、大きな枠組み、当たり前自体を問いなおせるように、大学院に進学しました。
大変だったこと
自分たちが当たり前だと思っている認識枠組み自体を問う、ということがなかなか受け入れられないことですね。それをするということ自体を、自分の暮らしに関わっているものとして離れた場所とかの暮らしも提示していきたかったので、そこをどうつなげるか、動機をわかってもらうのがすごくつらかったですね。今でも苦労していますけど(笑)
楽しかったこと
フィールドワークです。海外でフィールドワークをすると自分の知らないことに触れられたり、日本でのフィールドワークも自分と違うや他分野の話を聞けるのが楽しいですね。
フィールドワークは知らない土地に行くから不安にもなるけれど、危ない所ではあまりしない方がいいけれど、土地勘を把握するために歩きまわるんですよ。歩きまわった時に人と知り合えれば、その人を通じてその土地を知ることができるし、知り合いができるから不安もなくなります。不安はつきものですが大丈夫ですよ。
あと、おいしい食べ物がたくさん食べられるのもフィールドワーク中の楽しみの一つですね。
文化人類学を学んで役に立ったこと
直接的に役に立つことではないんですけれども、相手側の立場に立ってみたり、相手のバックグラウンドについて思いを巡らせて、客観視することができるようになったことです。このことは生きていくうえで役に立つことだと思います。
文化人類学を志望する人への期待
疑問を抱きつつ客観的に考えてほしいです。先生が何か話をされた時も、自分の経験からそれは本当にあっているのか?というふうに、考えられるとよいと思います。
あとは、わからないものがあるときに、そのまま流してしまうのではなくて、わかるまでしっかり考えることも大事です。
あなたにとって文化人類学とは
人類学って、いろんな立場の考え方を含めて包括して考えることができる学問だと思っています。自分の経験の中で私って何なんだろうと思うことがあって、それに対して一つの答えを与えてくれたのが文化人類学でした。
他者も自分も含めて理解させてくれる、自分を救ってくれるようなものなのかなって思います。