【調査実習の場所】山形県最上郡大蔵村
【期間】2018年8月3日から8月10日までの8日間
【概要(テーマ)】
全体のテーマとしては過疎化の進む大蔵村の中で、地域産業や長所をアピールしすることで過疎
と向き合いながら生きる人々の展望や実践を描くことを目指した。それを軸として個人では、高齢者、教育・進路選択、酒造、メンズ農業、観光(肘折温泉郷)、観光と景観(四ヶ村の棚田)をテーマとして扱った。
【調査地、テーマ決めについて】
各自が調査したい地域を発表し合い、最終的に二つに絞り込んで決めた。
各自が取り扱ってみたいテーマがあるか、現地への/現地での交通の便、宿泊できる場所があるか、またメンバーの中で大蔵村に知人が住んでいたことなどが決め手となった。
テーマに関しては各調査地を調べる段階で各自担当したい分野を決め、そこから共通項を探し、全体のテーマを考えていった。
【事前準備で一番苦労したこと】
先行研究の検索と精読に苦労した。自分のやりたいテーマに沿う人類学の文献がなかなか検索で探し当てることができず、教育学の文献を読んでみたりしたものの徐々にそれも億劫になってしまった。結果として後期に報告書を書く際、理論構築に苦戦した。
先行研究の論文で何を読んだらいいのかわからなかった。さらに、それを質問に落とし込めるのか、その質問で何が導き出せるか、また自分が知りたいことや本人が当然と思っているようなことに対してどう聞けば答えが得られるのか、明確でなかったので、これで大丈夫か不安に思うことが多かった。
そうした先行研究を探すと同時に現地での交通手段や宿泊、食糧の確保方法について考えたり、インフォーマントとのやりとりだったり、質問表を作成したりする必要があったので時間管理の面でも苦労した。
【実習中に印象に残ったこと】
現地が車文化だったこともあり、インフォーマントの方に送迎をしていただいたり、移動に使っていたスクールバルの運転手の方がルートを迂回して宿泊地前まで送ってくださったりすることがあった。また、特産品であるトマトをいただいたり、近隣住民の方から豪華なお食事をいただいたり、花火大会に誘っていただいたりと、現地の方のやさしさを強く感じた。
また、実習とは直接的な関係はあまりないが、滞在中に現地でも50年に一度といわれるほどの大豪雨に見舞われ、宿泊地が緊急避難場所になったことが個人的には強く印象に残っている。
【インタビューの感想、インフォーマントとの関係づくり】
インタビュー自体は、緊張したものの二人一組で行ったこともあり殆どが失敗なく行うことができた。しかし中には、何人ものインフォーマントがいたために会話をうまく聞き取れず、苦労したものもあった。
また、インフォーマントとの関係づくりの一環として、インタビューとは関係なく、現地で行われたほたる火コンサートのお手伝いをさせていただいた。その打ち合わせを含め、顔を合わせる機会も多かったことも話しやすさにつながった一因といえるかもしれない。
【報告書の作成手順】
調査が終わったら、まず夏休みの課題としてインタビューを全て文字起こしする。その資料と前期の先行研究をもとに、気になることなどをピックアップしていき、並行して文献の読み込みを行う。
各自のテーマからキーワードを書き出し、つなげられる共通部分を模索し、章の順番を決めた。
今年は基本的に個々人のテーマで1章分担当した。前半は各自の概要や使用理論のまとめから書き始め、後半は、それぞれ先生からアドバイスや校閲をしていただきながら書きあげ、年末には一度草稿を先方へ送り確認を行った。その返答を待ちつつ、論文の最終推敲と、現地の概要や全体テーマ、実習自体の基本要項をまとめていった。
先輩からのアドバイスもあり、書式などをあらかじめ統一していたので校正などは比較的早く終わらせられたように思う。