日時場所:2023年7月18日、10:30-12:00、アカデミックリンクセンター「まなび」
講演者:中野 惟文(東北大学大学院文学研究科文化人類学研究室)
タイトル:「間接的な法規制への対処: カンボジアにおける呪術実践者とそのクライエントの事例」
要旨:本発表では、実践の一部がカンボジア政府によって法的に規制された呪術師であるクルーと彼らを頼るクライエントの対処を明らかにする。1978年のアルマ・アタ宣言以来、伝統治療師を地域医療に活用するために、多くの国家が彼らの活動を法制度に組み込んだ。カンボジアではクルーの呪術実践の一部である伝統治療的要素が免許制となった。これに対し、免許の貸し借り、証言のごまかしなどを行い規制から逃れるクルーとそれを助けるクライエントもいた。彼らの対処の実際を、彼ら、現場の警察官、そして調査した発表者それぞれの立場性に言及しながら、具体的な事例を挙げて明らかにする。
研究会を終えて:千葉大学文化人類学研究会、初の拡大研究会に東北大学から中野惟文先生をお呼びした。いつもの研究会では聞くことのないフィールドでの事例ということもあり、非常に新鮮で興味深いお話を伺うことができた。呪術師と警察官を中心としたやり取りからは現場の様子を垣間見ることができ、それぞれの立場性に言及しながら記述する方法に学びを得た。発表の後には、学生に向けて自らの経験を交えながらのアドバイスもいただき、第1回拡大研究会は盛況のうちに終了した。